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桐の話(三)

―キリの木の材としての性質―



−桐博だよりVol.5(平成10年8月1日発行)より抜粋−


福島県立博物館 教育普及係長 松田隆嗣




 キリの木の大きな特徴として、軽く、かつ熱や湿気を伝えにくいという性質をもっていることは、よく知られていますが、この軽くかつ熱や湿気を伝えにくいという性質は、いったいキリの木のどのようことに基づくことなのでしょうか。
 この木が軽いか重いかということを比較するには、簡単には、同じ大きさ、例えば1cm×1cm×1cm(1立方cm)の大きさのものの重さと比較するとよくわかります。この単位体積当たりの重さが重いものほど、重い木といえるのです。表−1に日本産主要樹木の気乾比重を掲げましたが、キリは日本産樹木の中で最も軽い材とされ気乾比重(平均)が0.30であり、最も重たいとされるイスノキと比較すると約1/3しかありません。一般的な木材と比較しても凡そ1/2〜2/3の値です。この比重が小さいということは、どういうことなのでしょうか。
 解りやすくいうと、単位体積に占める木材実績の量が少ないということです。例えば、同じ大きさの箱にワタをできるだけ軽くふんわり入れた場合と、ギュウギュウ詰めにいれた場合を考えてみるとよいと思います。
 つまり、キリの木が軽いというのは、木材の実績がふんわりと詰まった状態にあるためで、逆に重たい木というのは、木材実績がギュウギュウ詰の状態にあるのと同じことです。
 また、木材の実績がふんわりとつまっている状態というのは、言い換えると空気が多く含まれた状態とも言えます。含まれているといっても、導管・仮導管・木繊維・柔細胞などの木材組織を構成する細胞という小さな袋の中に含まれた状態となっているのが実際のところです。そして、このような小さな袋の中に空気が含まれた状態になっているため、軽く、かつ熱や湿気を伝えにくいという性質が生まれてくるのです。


−桐の話(一)−

−桐の話(ニ)−