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◆桐と文学・源氏物語「桐壺」 紫 式部 宮廷の内裏に桐の木の植えてある中庭(壺)がある。その中庭のそばの 建物を淑景舎(しげいさ)というが、桐にちなんで桐壺ともいう。 「源氏物語」の主人公、光源氏の母の更衣はこの建物に住んでいたので、桐壺の更衣 といわれている。帝の居所、清涼殿からもっとも遠い東北隅にある。したがって 「更衣のお部屋は桐壺である。帝が、多くの女御・更衣方のお部屋の前 を素通りなさって、ひっきりなしに桐壺にお出向きなさるので、その方々 がやきもきなさねのもなるほど無理もないことと思われる」(現代語訳抜粋) ということになる。 桐壺の更衣は帝の寵愛を一身に受けるが、皇子 (光源氏)を産んでまもなく病気で死んでしまう。 彼女のはかなく、美しく、また、こうごうしく、繊細な印象は、桐の持つ 性質にある通じるものがある。 ・枕草子 清少納言 (現代語訳) 桐の花が、紫に咲いているのは、やはり美しく、葉の広がりかただけは いやな感じがするけれども、また、他の木などと同列に並べて論ずべき ではない。 中国では、おおげさな名前がついた鳥‐鳳凰-が、選んで、こ の木に栖むというのは、格別な感じがする。まして桐を琴に使って、そこ からさまざまな音色が出てくることなどは、おもしろいなどと、世間並みの ことばで言えようか。たいそうすばらものである。 ・桐一葉 坪内逍遥 「桐一葉」は秋の季語であるが、秋のわびしさやさびしさだけでなく、やが て訪れるであろう凋落の象徴でもある。 坪内逍遥「桐一葉」は豊臣家の衰亡と老将片桐且元(かたぎりかつもと) の悲劇を描いた戯曲であり、桐は豊臣家の紋章で、家臣たちにもそれが 広がっていたことなどが、この戯曲の伏線をなし、奥行きを生み出している。 秋の夕暮れ、大きな葉っぱがバサリと落ちてゆくのは、わびしさを感じ させる。 桐一葉落ちて天下の秋を知る 「准南子」(えなんし)中の名言 我宿の淋しさおもへ桐一葉 松尾芭蕉 桐一葉日当たりながら落ちにけり 高浜虚子 ・川柳 桐の木の上に雁々十三羽 琴は桐の木で作られるので、桐は琴の別名となる。 琴柱の形を雁に見立てて、雁がならんで飛んでゆくさまとした。 桐の光で鳳凰も駕籠を出る 鳳凰は桐の木に住むという伝説があり、江戸時代では吉原の最上の 花魁を鳳凰と称していたところから、桐の紋のある小判の力で身請け させて吉原から出る、ということをいう。 分銅と桐で高き京の寺 分銅は二朱銀の異称で銀閣寺、桐は金の異称で金閣寺というしゃれ。 桐枯れて鳳凰の出る御代となり 「桐枯れて」は豊臣家の紋が五三の桐だったことで豊臣家の滅亡を指し、 鳳凰は聖人の世ということで徳川家を賛美している。 |
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